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離婚手続きに関連する用語解説
離婚の際話し合いで親権とは別に設定することが可能な、子どもの衣食住の面倒をみる権利をいいます。監護権は親権と異なり父母以外にも認められます。
法律には、親権者は子の監護及び教育をする権利を有し義務を負うと規定されていて、通常親権者と監護者は一体と考え、区分することは少ないです。
子どもの利益のために必要であれば、親権者及び監護者を変更することができます。監護者の変更は当事者の話し合いだけでできますが、親権者の変更は家庭裁判所において調停・審判を経ることが必要です。
未成年の子どもの氏を自分と同じ氏に変更する場合は、親権者からの申立てにより家庭裁判所にその許可をもらい、市町村へ届け出をする必要があります。離婚後に婚姻時の氏を選択し、子どもを自分の籍に移す場合にも子の氏の変更手続きをします。
未成年の子が15歳以上の場合は、その子の名で申立てをします。子の住所地を管轄する家庭裁判所へ行き、備え付けの用紙に必要事項を記入し、収入印紙800円を貼付けして窓口にへ提出します。添付書類は子と親権者の戸籍謄本です。
子の監護及び教育をする権利と義務で、協議離婚の場合は親権者が決定していなければ、離婚届は受理されません。親権者とは、法定代理人として未成年者の法律行為の取消しや同意をしたり、衣食住の世話、教育を受けさせ、財産の管理をし、職業許可、居所指定などをする者をいいます。
離婚協議で親権に争いがあり、調停・審判、裁判となった場合のこれまでの裁判例では、子どもが乳幼児であれば母親を適任としたものがあります。また、父母の適格性に差がないときは、離婚前の監護状況と離婚後の監護環境、兄弟の不分離などを加味して判断しているものがあります。
法律に直接の規定はありませんが、裁判所は一定の場合を除き親権(監護権)を持たない親が子に会う権利を認めています。当事者による面接交渉権の協議がまとまらないときは、家庭裁判所の調停・審判により結論を出すこととなります。
面接交渉によって子に悪影響を及ぼす可能性が高い場合は、認められない場合があります。なお、面接交渉の実現を条件に養育費を支払うという主張は認められません。
父から認知を受けた子は、出生のときに遡って父親に権利を主張できます。父親が負担しなかった養育費についても請求可能です。金額については話し合いにでの決定が原則ですが、不可能であれば家庭裁判所に調停の申立てができます。
なお母親は一定の所得額の範囲内であれば、養育費を受け取っていても児童扶養手当の支給を受けることができます。
離婚慰謝料は、(1) 離婚そのものによって生じた精神的苦痛 (2) 離婚原因をつくりだした有責者からの精神的苦痛に対し請求できます。この有責者には不倫の相手方(愛人など)を含みますが、既に夫婦関係が破綻していたときは、慰謝料請求を認めないとした裁判例があります。
離婚慰謝料の請求権は、離婚が成立した日から3年で時効消滅します。離婚原因に対する慰謝料請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年以内の行使が必要ですが、この期間を過ぎていても離婚成立の日から6ヶ月以内であれば行使できます。
慰謝料額は事情によってまちまちですが、相手の有責性、精神的苦痛の程度、婚姻期間、支払い能力による要素が大きいようです。慰謝料の確保のためには、公正証書に取決め内容と強制執行ができる旨の条項を記載しておくことをお勧めします。
いわゆる生活費ですが、婚姻中はたとえ別居していても夫婦は婚姻費用を負担する義務を負います。夫婦の分担額は収入に応じ決まり、調停などの実務で使用されている算定表を用いれば簡易に調べられます。
生活費を入れてくれず、話合いで解決できないときは家庭裁判所に調停を申し立てることができます。相手方の住所地の家庭裁判所が管轄となります。
別居中夫が子どもと同居せず、監護義務を全く放棄していて1年以上経過しているようですと、児童扶養手当の受給資格を得られる可能性がありますので、離婚に至っていなくても市町村役場に相談ください。
離婚に際して、夫婦共同の財産を清算分配し、かつ離婚後における一方当事者の生計の維持を図ることを目的とするもので、離婚による慰謝料を含めることができます。
ほか財産分与に含めることができるものとして、過去の婚姻費用の清算(分担額を超えて負担した分)、家事労働、退職金、夫婦共同生活で生じた債務の中でその発生寄与分などがあります。
財産分与額は、夫婦の財産形成に対する貢献度により、婚姻期間の2分の1としたものや30%とした裁判例があり、事情によりまちまちです。なお、財産分与を受ける際は例外を除き、贈与税はかかりません。
離婚後児童を養育する母子家庭に支払われ、児童とは18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある者を言います。児童手当は12歳到達後の最初の3月31日までの間にある児童に支給されますので、それまでは児童扶養手当と同時に受給できることとなります。
児童扶養手当受給には、養育者と児童の戸籍謄本、住民票の写し、市区町村発行の養育者の所得額証明書、印鑑、銀行通帳(養育者名義)を用意して市町村の子育て支援課などの窓口で申請をします。児童扶養手当の受給を理由に養育費の支払いを免れることはできません。
扶養親族の人数と所得額により支給額が決定され、全額支給で41,720円、一部支給では41,710円〜9,850円(平成20年4月現在)となっています。実家で生活費の面倒をみてもらっているときは、援助者の所得が一定以上であると支給されません。
生活保護を受ける場合は、児童扶養手当は収入として計算され生活保護給付額の減額や支給されないケースがありますので、福祉窓口で確認してください。
平成19年4月以降の離婚について、婚姻期間中に配偶者が納めた厚生年金(共済年金)のうち、夫婦の協議により最大2分の1を一方配偶者に移転できる制度です。平成20年4月以降からの婚姻期間分については、夫婦の協議なくして自動的に2分の1となります。
年金分割に必要となる情報提供の請求は、社会保険事務所等に備付けの用紙を提出することにより行います。添付書類は、請求者の年金手帳又は基礎年金番号通知書、婚姻期間等を明らかにすることができる書類(戸籍謄本もしくは抄本、事実婚の場合は世帯全員の住民票写しなど)です。
請求により提供される情報には、年金の按分割合の範囲が記載されていますので、この範囲で分割協議を行い合意文と按分割合、当事者の氏名・生年月日・基礎年金番号が記載された公正証書(公証人の認証を受けた私署証書も可)を作成します。
社会保険庁長官に対する年金分割の請求(正式には標準報酬改定請求といいます)は、離婚後2年以内にしなければなりません。請求に際しては社会保険事務所等所定の用紙に必要事項記入のうえ、請求者の年金手帳又は基礎年金番号通知書、婚姻期間等を明らかにすることができる書類(戸籍謄本もしくは抄本、事実婚の場合は世帯全員の住民票写しなど)
、請求日前1ヵ月以内に発行された当事者の生存(死亡年月日)を証明する事ができる書類(戸籍抄本、住民票の写し等)、前述の公正証書の謄本又は公証人の認証を受けた私署証書を添付し、請求者の住所地を管轄する社会保険事務所(共済組合)へ提出します。
養育費の負担義務は、元配偶者が再婚をしたからといって免れることはできません。ただ、子どもが元配偶者の再婚相手と養子縁組をしたケースで、養育費の減額・支払い免除が認められた審判例があります。
再婚以外の理由で養育費の減額が認められたケースとして、失業、病気、怪我により収入が減少したときは、公正証書による定めがあっても扶養義務者側の事情変更があったとしたものがあります。反対に扶養権利者側の増額が認められる余地もあります。
婚姻期間が20年以上であり、かつ居住用の土地家屋として使用するつもりである不動産、又は不動産の取得のために金銭の贈与を受けた配偶者は、贈与税の基礎控除額と合わせ2,110万円の控除を受けることができます。
譲渡所得課税が原因で離婚協議が停滞している場合には、贈与を検討することにより打開をはかれる可能性があります。
なお、控除を受けた場合には、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その不動産を居住の用に供し又は居住用不動産の取得に充てなければなりません。
不動産の財産分与をすると、分与をした側に譲渡所得税が課せられる場合があります。例えば、不動産取得時に1,000万円だったものが財産分与時に2,000万円となっていた場合には、差額の1,000万円につき課税されます。
不動産の所有期間により税率が変わり、5年超で20%(所得税15%、住民税5%)、5年以下の場合は39%(所得税30%、住民税9%)となります。
当該不動産が居住用であるときは、3,000万円の特別控除が受けられますので、不動産取得額と財産分与時の時価との差額が3,000万円以下であれば、譲渡所得税は課税されないこととなります。
裁判離婚のように法律で定められた離婚原因を必要とせず、当事者の離婚意思と離婚届けにより成立するものを言います。性格の不一致で離婚する場合は、協議離婚か調停(審判)離婚となります。
日本における離婚の90%は協議離婚で、残り10%のうち9%は話合いがベースとなる調停離婚です。離婚後の戸籍にはその離婚形態ごとに協議離婚は「離婚日」、調停離婚は「調停成立日」、裁判離婚は「裁判確定日」が項目として記載されます。
事実婚は婚姻届を提出していませんので、法律上の夫婦ではありませんが多くの場面で法律婚と同様に扱われています。遺族年金や厚生年金の受給が認められています。また賃貸物件の賃借人が死亡しても内縁配偶者は、居住を続けるべく賃貸人に主張できます。
一方の内縁配偶者が交通事故の被害者となり、扶養を受ける利益の侵害を受けた場合は、加害者に損害賠償請求もできます。
法律婚に比し事実婚が不利となる点は、一方配偶者の相続人となれないこと、内縁関係間の認知された子(非嫡出子)は相続権は有しますが、法律婚による子がいたときはその子の2分の1の相続分となることです。但し、遺言により財産の配分を指定しておけばその差を埋めることが可能です。
事実婚の場合親権は共同親権とならず、母親が有することとなりますが、父が認知したときは父母の協議によって父を親権者と定めることができます。(市町村役場への届出が必要) なお、認知された子は父母が法律婚をすれば、嫡出子としての身分を取得します。
ひとり親支援制度には法律を根拠とした全国一律のものと、自治体により制度の有無や資格要件が異なる、自治体の条例の規定を根拠としたものがあります。いずれも市区町村の窓口で、適用について確認ができます。以下が主なひとり親支援制度です。
■国民年金・国民健康保険料減免
■所得税・住民税の軽減
■児童扶養手当
■母子・父子家庭児童育成金(藤沢市では中学卒業後に2万円支給)
■医療費助成
■母子・寡婦福祉資金(無利子での入学支度資金・生活資金貸付け)
■水道・下水道料金の減免
■自立支援教育訓練給付(10万円を上限に講座受講料の20%を支給)
■高等技能促進訓練給付金(看護師や介護福祉士取得カリキュラム受講中の生活費支給)
配偶者から暴力を受け、又暴力から逃げても付きまとってくる場合に被害者が、地方裁判所に申立てをして保護命令を求めることができることを規定した法律です。
この法律では、「配偶者暴力相談支援センター」の設置を規定し、被害者の一時保護やカウンセリング、自立促進のための情報提供・援助を行っています。神奈川県では、神奈川県立女性相談所 (045-313-0745)と神奈川県立かながわ女性センター (0466-27-9799)が設置されています。
身の危険を感じる切迫した状態にあるときは、配偶者暴力相談支援センター以外に最寄の警察か市町村役場の女性相談窓口へも相談でき、支援機関の紹介など今後のアドバイスを求めることができます。
DVには、殴るのはもとより物を投げつけたり、髪をひっぱったり、凶器を突きつけるなどの刑法の傷害(204条)、暴行(208条)に該当する行為である身体的暴力、及び大声でどなる、無視をする、電話や手紙の内容をチェックする、殴るそぶりをして脅かすなどの精神的暴力、及び性的行為の強要や避妊にに協力しないなどの性的暴力があります。
配偶者からの暴力は、法定離婚原因のひとつである「婚姻を継続しがたい重大な事由」と認められていますので、傷の証拠写真や医師の診断書などがあれば離婚ができる可能性が高くなります。
離婚により旧姓に戻ることをいいます。原則は復氏ですが、婚姻中の氏を引き続き称することができ、離婚の日から3ヵ月以内に役所への届出が必要です。
子どもを自分の戸籍に移し、同じ氏を称するためには親権者又は15歳以上の未成年の子が、家庭裁判所に氏の変更の許可の申立てをして許可を得た後、市町村役場で入籍の手続きを行います。
法律により夫婦には同居義務が定められています。従って正当な理由がなければ別居する事ができません。夫婦双方が別居に合意している場合、単身赴任等やむを得ない事情がある場合は、認められます。
正当な理由もなく別居を始め、それが家族を捨てる意思(どうなってもかまわないという態度)をもって行われた場合には、法定離婚原因である「悪意の遺棄」に当たるとした裁判例があります。
子どもとの関係においては、別居中子どもを手許に置いていた方が、裁判によって親権を主張する際には有利であることが多いようです。
別居期間が長期にわたり、婚姻関係が破綻している場合には、不貞行為をした有責配偶者の側からの離婚請求であっても認めるとした裁判例があります。別居期間が8年で認められた例もあります。
認められる条件としては、未成熟子がいないこと、離婚後一方配偶者の生活が困窮しないこと、別居後も生活費を渡していたなど誠意ある対応をしていることが必要としています。
但し、別居期間や子の未成熟の程度その他個別事情を総合的に考慮して認定されているようですので、別居期間が長くても有責配偶者からの離婚が認められない場合もあります。
なお、裁判例では婚姻関係が破綻した後の愛人との同棲は、不貞行為に当たらないとしています。