相続手続きの基礎知識
1.相続手続きの手順概要
2.遺産分割協議が無効とされた事例
3.財産の評価について
4.遺留分減殺請求権の行使方法と効力について
相続手続きの手順概要
相続手続きは、下記Step1.〜4.の手順が標準的な進め方となります。 Step 1. 遺言書の有無を確認四十九日の法要が済むまで大変忙しいですが、できるだけ早く遺言書の有無を確認しておきます。故人の金庫や机の引き出しの中を探し、又お近くの公証役場に公正証書として保管されていないか照会します。 自筆証書遺言が出てきたときは、封を開けずに家庭裁判所に連絡をして、検認を受けるためのスケジュール調整をしてください。手続きは、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。 また、なるべく早い段階で金融機関の口座凍結(但し当面の必要経費や口座引き落としを考慮)、生命保険金の請求、健康保険、年金に関する手続きを行います。 Step 2. 相続人調査及び財産調査を行う
相続人は誰で、遺産はどれでどこにあるのかを調べます。役所や法務局などから戸籍謄本や登記簿謄本を取り寄せ、故人の預金通帳や株式配当通知書、納税証明書などを手かがりに把握します。 調査の結果故人の借金や保証債務額が不動産・預貯金などプラスの財産額を明らかに上回るようですと、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に相続放棄をします。 Step 3. 遺産分割協議を行う(遺言書があっても行うことは可能)
相続人全員が集まって、又はたたき台となる協議案などの書面持ち回りにより、分割の話し合いをします。合意に至ったら遺産分割協議書を作成します。後から新たに遺産がで出てきた時のことを想定した条項を入れるなど後に争いが起きないよう慎重かつ正確に作成します。いつまでも話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用するとスムーズに話し合いが進む場合もあります。なお、相続税の申告(相続開始の翌日から10ヵ月以内)が必要か否かや額は財産調査・分割の段階で把握できますので、納税資金の用意や必要に応じ税理士の手配などの準備をします。 なお胎児は、相続については既に生れたものとみなされ、無事出生すると遺産分割協議に欠くことのできない、相続人の一人となります。裁判例で母親は、胎児の代理人となることが出来ないとしたものがありますので、胎児の出生を待ってから遺産分割協議をすることで、無用の争いを避けることができます。 Step 4. 財産の名義変更
相続人は取得した財産(預貯金・不動産・株式・自動車など)を自分の名義に書き換えて所有権を移転させます。ほとんどの名義書換え手続きに遺産分割協議書・戸籍謄本など、相続人であることを証明する書類の提出を求められます。書類は、Step 2.の段階で必要数を取得しておくと効率的です。(但し、有効期限があります) なお、名義変更には法的な期限はありませんが、安全上早期に自己へ所有権を移転しておくことをお勧めします。 相続税を支払う必要がある方は、全体の5%程度といわれていますが納税を終えると、相続手続きがほぼ終了となります。 当事務所では、あなたに代わり相続手続きのすべてをうけたまわり、確実かつ迅速に完了させます。
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遺産分割協議が無効とされた事例
■相続人であると判明していた者を除外して協議が行われたとき■分割協議成立後、相続人の一人が相続排除審判確定などを原因に相続人でなくなり、そのため新たに相続人となる者があるとき
■分割協議上重要な遺産が存在していたことを知らず協議を終えた場合で、もしこの遺産があることを知っていたら、既になしたような分割はしなかったであろうとき
■親権者と子が共同相続人であるとき、子のために特別代理人を選任を受けずに分割協議をしたとき
■分割協議後に遺言書が見つかった場合で、もし協議前に見つかっていたら既になしたような分割をしなかったであろうとき
遺言書の存否の確認や相続人及び財産の調査が不十分であったり、利益相反条項に抵触していたり、相続人全員の合意があったと認められないときには、上記事例に陥ることとなるので注意が必要です。
相続財産の評価について
相続財産とくに不動産の評価額は、しばしばこれを巡って紛争となります。
それは相続税計算の際の評価と異なり、実際売ったらいくらになり、同時にそれが相続分を満たす金額であるかどうかは、相続人のもっとも大きな関心事であるからです。
ただ通常は、実勢価格に近いとされる「公示価格」や「固定資産税評価額」により把握することが多い
ようです。実勢価格は地元の不動産業者も掴んでいるとおもいますが、実際に売ってみないといくらになるのかはわかりません。
正確な評価がされないと分割協議が整わないときは、時間と費用がかかっても専門家による鑑定をもって公平性を担保することとなります。
経済情勢による値動きが大きい財産については、その動向の見きわめによって結果が大きく違ってきます。なお二次相続を視野に入れ、値上がりの可能性の大きい財産は、次世代に相続させておいたほうが賢明です。
遺留分減殺請求権の行使方法と効力について
遺留分を主張するには裁判所へ訴えを起こす必要はなく、口頭であっても相手方に意思表示をすれば構わないとされています。
しかしそれでは、時効までに請求をしたという証拠が残らないので、日付と内容が証拠として残る内容証明を使って意思表示をする方法をとるのが一般的です。
請求権利者はまず遺贈について減殺をし、まだ遺留分に満たないときは、贈与に対し減殺をするよう法律で権利行使する順序が定められています。
請求をする際はその対象が被相続人の贈与または遺贈によるものであることを示せばよく、どの財産か明細を提示する必要はありません。
効力としては、請求によりその権利の範囲で当然に請求者に財産は帰属し、受贈者又は受遺者は対象財産を請求者に返還もしくは共有としなければなりません。返還方法は原則現物による返還で、返還義務者の申し出があれば、価額弁償が出来ます。
但し、現実はすんなりとはいかず訴訟となり、遺留分を取得するまでに時間がかかる場合が多いようです。