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遺言に関連する用語解説
自筆証書遺言の保管者(発見者)が、遺言書の封を開けずに家庭裁判所へ提出し、その状態などの確認により現状を確定してもらう手続きです。遺言書の変造・偽造等の防止が目的で、遺言の法的効力を判断するものではなく、効力を巡り争うことは可能です。
遺言書の保管者又は発見者は、遺言者の死亡後遅滞なく遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、備え付けの申立書、申立人と相続人全員の戸籍謄本、遺言者の戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本、手数料分の収入印紙800円を遺言書に添えて提出し検認の請求をします。
あらかじめ遺言者が遺言で指定し遺言者の死後、財産の名義変更や死後認知手続きなど遺言内容の実現を託された人をいいます。相続人はこれを妨害することは許されません。
遺言による推定相続人の廃除・その取消し及び認知は、執行者がいないと実現できません。遺言執行者の指定がない場合は、利害関係人(相続人・受遺者など)は、家庭裁判所に選任の請求ができます。
遺言執行者が遺言内容の実現を怠ったり、不公正な手続きをしたりなど解任をする正当な事由がある場合は、利害関係人は家庭裁判所に解任請求をすることができます。
自己のなした遺言が、法律上どのような効力を持つか認識できる能力をいいます。15歳に達したものの遺言、成年被後見人が正気に戻ったときに医師二人以上の立会いのもとされた遺言は、民法に定められた方式に従っていれば、遺言能力を有する者の遺言として有効となります。
公正証書遺言であっても、認知症が進み遺言がてきる精神状態にない場合には、無効であるとした裁判例があります。
遺言によって遺言者の財産を他人(相続人を含め法人・自然人を問わず)譲渡することをいいます。分配割合だけを指定する包括遺贈と具体的に財産を特定する特定遺贈があります。遺贈は、贈与とともに遺留分の制限を受けます。
法定相続人に遺言により財産を分配するときは「相続させる」と記載します。「遺贈する」とした不動産を受遺した場合の名義変更に伴う登録免許税率は、相続の場合の5倍である20/1,000となります。
遺贈により取得した不動産の名義書換えは、共同相続人と共同で行う必要があるのに対し、相続の場合は取得者単独での申請ができます。また農地の相続には、都道府県知事による農地法3条の許可は不要です。
兄弟姉妹以外の相続人が、相続財産のうち最低限確保することができる一定割合を言います。この部分は遺言によっても自由に処分することができません。
相続人が、被相続人の両親または祖父母のみであるときは相続財産の3分の1、その他の場合は相続財産の2分の1が遺留分となります。これを法定相続分で分割したものが、相続人個々の遺留分です。
遺留分は、相続開始前であっても家庭裁判所の許可があれば、これを放棄することができます。この部分について遺言者の処分する事ができる財産が増えることとなります。
公証人のチェックのもと作成されるため、無効となる心配がなく又家庭裁判所の検認を受ける必要がありません。公証人が遺言者のところに出張して作成してもらうことも可能です。
作成の手続きは、まず遺言の中身の有効性や作成日時について公証人と事前に打合せをしておきます。遺言者の実印、印鑑証明書、遺言者と続柄がわかる相続人の戸籍謄本(受遺者の住民票写し)、不動産登記簿謄本、固定資産税評価証明書が必要です。
作成当日は証人2人と公証役場へ出頭し、遺言の内容が正確であることを確認して、3人の署名・押印をします。原本は公証役場に保管され、正本と謄本は遺言者に渡されます。証人には推定相続人、受遺者、これらの配偶者・直系血族を選ぶことができません。また、遺言の内容を知られることとなりますので注意が必要です。
遺言者本人が、用紙・ペン・印鑑を使用して作成する遺言書をいいます。遺言書に記載して法的効力を有する事項の知識と作成ルールの知識が必要となります。
夫婦が共同で作成した遺言、自筆の日付や押印のないものは無効となります。作成後に専門家に見てもらい、保管方法も含めアドバイスを受けることをお勧めします。
なお遺言によって債務の免除、借金等の弁済がなされたときは、その免除や弁済による利益はみなし相続財産として、相続税の課税対象となります。
遺贈を受ける者(受遺者)は、遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄をすることができます。死因贈与のような契約と違い、遺贈が一方的な意思表示であるためです。
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することとされていますので、放棄をするときは相続人と同様に、自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内にしなければなりません。
包括受遺者には、寄与分の取得、他の相続人が放棄した分の取得、代襲による受遺などは認められません。その他は、遺産分割協議への参加など相続人と同様の振舞いをする事ができます。
相続人なくして亡くなった方の財産は、相続人捜索や債権者への清算手続きが終了し、
特別縁故者へ分配された残りは国庫へ入ります。
もしご自身の財産を国庫に帰属させたくない場合は、遺言書を作成し遺贈すべき人や団体、及び遺言執行者を指定しておけば実現できます。ただ、ご自身では気づかない相続人が存在している場合がありますので、先に相続人の調査をしておくことをお勧めします。
判断能力のあるうちに将来自分の判断能力が不十分となったときに、代理人として財産管理や身の回りの世話及び亡くなった後の遺言執行などの委任契約を公正証書によって締結することをいいます。
契約の内容は法務局に登記され、ご本人が亡くなるとこの契約は終了となります。後見人に資格はありませんが、職務の性質上非常に高度な倫理観が要求され、誰もがなれるものではありません。
遺言書に記載された事項のうち、法律上の効力を持つのは
遺言事項といわれる、限られたものとなります。法律的には効力を有しないけれども、遺言者の心情を遺言内容の理由としてしたため、相続人に理解を求める内容などの記載をいいます。
遺言の内容に変動があれば、あらたに書き直すことが最も安全な方法ですが、あらかじめ予測できる変動に対し対処できる条項を入れておけば、書き直さずとも意図した内容の実現が可能です。
こうしたバックアップの役割を果たす条項をいいます。例えば遺言者より前に、相続人(受遺者)が亡くなる心配があるときは、代わりの財産配分先を指定して遺言の補充をしておきます。