内容証明について
1.内容証明の性質 2.内容証明が証拠力を生じる事例 3.内容証明が効を奏さなかった場合の措置について
内容証明の性質
周知のとおり内容証明郵便には、相手方に対しこれへの回答を求めたり、その内容を相手方に履行させるといった法的強制力はありません。
しかし、こうした正式なあらたまった方法をとられた相手方は、従前とは違った反応をみせることが多くなります。殊に国家資格者の職印の入った内容証明郵便は、より強い緊迫感を相手方に与えることとなります。
ただ、場面・タイミングなどの状況判断や表現には注意が必要です。軽率な内容・判断ではプレッシャーを与えるどころか、返り討ちにあう事にもなりかねません。(例えば脅迫じみた内容証明)
内容証明に強制力がない事を踏まえ、現在抱えたトラブルをどのように終息させるか、しっかりと見通しを立てた上で効果を最大限に引き出す工夫をすべきです。 >>このホームページからのお問い合わせはこちらからお願いします
内容証明が証拠力を生じる事例
内容証明は下記のような法的効力を生じたり、訴訟の際に証拠とすることもできます。■契約書のない貸金契約で、相手方から債務の承認を引出しこれを債権存在の証拠とすると同時に、時効を中断させること。
■債権譲渡の通知をする際、「確定日付のある書面」として扱われ、法律が求める要件を満たすことができる。
■契約解除をしたり、支払い期限の定めがない貸金の請求の際に必要とされる「相当の期間を定めて請求」をした日付の証拠となる。
■クーリングオフの通知を発信した日を証明できる。
■債権債務を相殺する意思表示として使える。
■遺留分減殺請求・損害賠償請求・財産分与など法定期間内に権利行使をした証拠となる。
内容証明が効を奏さなかった場合の措置について
内容証明郵便で金銭の支払い請求をして、相手方が支払いに応じない場合であっても、訴訟を提起する前に『支払督促』を申し立てるという選択肢があります。
支払督促は、強制執行に必要な債務名義を簡易に取得するための制度です。債務者の住所(所在地)を管轄する、簡易裁判所の裁判所書記官に対し申立てを行います。
ただ支払督促を申立てても、債権債務関係に争いがあるときは債務者から『督促異議』がなされるのが普通で、これにより督促の申立ては失効し、通常の民事訴訟に移行します。
従って債務者が督促異議をなすことが確実な情勢であれば、訴訟提起ということになります。(目的の価額が60万円以下の金銭債権のときは、1回で裁判が終了する簡易裁判所による少額訴訟を利用できます)
債務者が督促異議を期間内に申立てなければ、債権者は仮執行宣言の申立てをし、仮執行宣言付支払督促をしてもらうことによって、強制執行が可能となる債務名義を手にすることとなります。
仮執行宣言付支払督促を受け取った債務者が、一定期間内に督促異議の申立てをしなかったときは、確定判決と同一の効力を有することとなります。